
こんにちは、松山市の司法書士・行政書士 菊池俊幸です。
前回は「遺言を書く際に不動産の書き漏れを防ぐこと」についてお話ししました。今回は、不動産と並んで相続財産の中心となる「預貯金」について、遺言にどのように書くのが望ましいかをお伝えします。
遺言のご相談でよくあるのが、「○○銀行の口座を長男に相続させる」といった書き方です。一見するとわかりやすいように思えますが、実はこの方法には注意が必要です。なぜなら、預貯金は金額が変動するので、遺言作成時に考えていた金額では分配できず、相続人間で不平等な分け方になってしまうリスクがあります。
そのため、遺言では「○○銀行○○支店の普通預金口座を…」と個別の口座を特定するのではなく、「預貯金を換価(現金化)し、その総額を、長男に〇分の〇、二男に〇分の〇の割合で相続させる」といった形で割合を定める方法の方が良いと思います。この書き方であれば、万一口座の残高が変わっていた場合でも問題なく対応でき、一部の相続人の受け取る金額が想定よりも多くなったり少なくなったりする心配はなく、結果として相続人同士の余計な争いを防ぐことにもつながります。
遺言は「誰に何を相続させたいか」をできるだけ明確にすることが大切です。ただし、不動産と預貯金では性質が異なるため、書き方にも工夫が必要です。特に預貯金は日々変動し、状況によってはゼロになっていることもありますので、「割合で相続させる」という方法をぜひ検討してみてください。