
こんにちは、司法書士・行政書士 菊池俊幸です。
遺言を書く場合に考えておかなければいけない事項として遺留分があります。
遺留分とは、遺言の内容に関わらず、相続人が最低限取得できる遺産の割合のことをいいます。遺留分の割合は、直系尊属(父母)のみが相続人の場合は遺産の3分の1、それ以外は遺産の2分の1になります。なお、兄弟姉妹には遺留分はありません。
具体例で見てみると、夫が亡くなり妻と子2人(長男、二男)が相続人になる場合の遺留分は、妻が4分の1(遺産の2分の1の法定相続分2分の1)、子がそれぞれ8分の1ずつ(遺産の2分の1の法定相続分4分の1)となります。
この事例で、財産が8,000万円あった場合で、遺言で長男に全財産を相続させると書いていた場合、遺留分は、妻が2,000万円(8,000万円の2分の1の2分の1)、二男が1,000万円(8000万円の2分の1の4分の1)となります。遺言に基づいて長男は全財産を相続できますが、もし二男から遺留分の請求がされた場合は、1,000万円を支払わなければなりません(請求されなければ支払う必要はありません)。
遺言を書く場合は遺留分を考慮しないで遺言者自身の希望に沿って遺言を書くことも多いと思います。遺留分を侵害する遺言を書く場合は、遺留分についても検討して、もし対策(一般的には生命保険や生前贈与等)がとれるようであれば、対策しておくことも一つの方法だと思います。