〒790-0923 愛媛県松山市北久米町1103番地6(駐車場:あり)
遺言書を書こうと思っても、どう書いていいか分からない方もいらっしゃると思います。
一般的な遺言の書き方についてお伝えしたいと思います。参考にしてみてください。
遺言書を書く場合の遺言書の書き方については、特に決まりはありません。
どのような書き方でも、遺言書を読んだときに遺言者本人の意思がはっきり伝わるようにな書き方をしてあれば問題はありません。
しかし、一般的な書き方はありますので、一般に書かれている遺言の書き方・順序をお伝えしたいと思います。
なお、ここでは遺言についての前提知識があって、これから遺言を書こうとしている方を対象としています。
遺言についての前提知識がない方は、お役立ち情報「遺言の種類と遺言作成上の注意点」を先に読んでください。
【記載順序】
①財産の相続に関する事項
②予備的遺言
③その他の事項
④遺言執行者に関する事項
⑤付言事項
①財産の相続に関する事項
「誰に」、「何を」、渡すかについて記載します。
渡す相手方の記載方法は、相続人であれば、続柄・氏名・生年月日で特定して記載します(例:長男山田一郎(昭和50年1月10日生)。
渡す財産の記載方法は、不動産は登記事項証明書記載のとおり記載します。預金口座であれば、銀行名、支店名、種別、口座番号を記載します。
なお、別添で財産目録を付けて記載する方法もあります。記載方法については、お役立ち情報「遺言の種類と遺言作成上の注意点」で確認してください。
②予備的遺言
財産をもらう方が遺言者より先に亡くなっていた場合に代わりに誰に渡すかについて記載します。もし遺言で財産をもらう人が先に亡くなっている場合で予備的遺言を書いていなかった場合は、その財産は遺言者の法定相続人に相続されます。
③その他の事項
葬儀費用や未払いの税金等を特定の相続人に支払ってもらいたいと考える場合や祭祀承継者(先祖代々の墓等の承継者)を指定しておきたい場合には、ここに記載します。こちらについては記載しない方が多いです。
④遺言執行者に関する事項
遺言書に基づいて相続財産の名義変更や預貯金の解約等の手続を行う人です。遺言執行者は選任していなくても手続はできますが、手続によっては相続人全員の印鑑証明書の提出を求められたりして手続が煩雑になる場合がありますので、選任するようにしてください。誰を選任してもかまいませんが、一般的には、遺言書で財産を一番多くもらう人を選任することが多いです。遺言執行者についても予備的遺言を記載しておくとよいと思います。
⑤付言事項
付言事項は、法律的効果のある遺言本文とは異なり、遺言者のお手紙的な文書で法的な効力のあるものではありません。家族に対する感謝の気持ちや遺言書の財産の分け方にした理由を記載したりします。
付言事項は記載してもしなくてもどちらでもかまいません。
次に記載方法の具体例を示しますので、具体例で書き方を確認してください。
(遺言の内容)
夫が全財産を妻(山田和子)に相続させるが、もし妻が亡くなっている場合は長男(山田一郎)に相続させる場合の記載例です。
1 遺言者は、遺言者の所有する全ての財産を、妻山田和子(昭和20年3月5日生)に相続させる。
2 遺言者は、前記山田和子が遺言者より先に死亡している場合は、前記1で山田和子に相続させるとした全ての財産を、長男山田一郎(昭和50年1月10日生)に相続させる。
3 遺言者は、この遺言の遺言執行者として、前記山田和子を指定する。
4 遺言者は、前記山田和子が遺言者より先に死亡している場合は、新たな遺言執行者として、前記山田一郎を指定する。
遺言案の構成は以下のとおりです。
①財産の相続に関する事項・・1
②予備的遺言・・・・・・・・2
③その他の事項・・・・・・・記載なし
④遺言執行者に関する事項・・3、4
⑤付言事項・・・・・・・・・記載なし
・「遺言者は」という書き方は、自筆証書遺言では、「私は」としてもかまいません。
・全財産を相続させる場合は、不動産の所在地番等や預貯金の口座番号等を記載する必要はなく、「全ての財産」と記載します。
(遺言の内容)
一部の不動産を二男(山田二郎)に相続させるが、それ以外の財産は全て長男(山田一郎)に相続させ、財産の大部分を相続させる長男に葬儀費用や未払いの税金等を負担させる。長男や二男が死亡している場合は、それぞれの子が引き継ぐ場合の記載例です。
1 遺言者は、遺言者の所有する以下の不動産を、二男山田二郎(昭和52年3月25日生)に相続させる。
(1)土地
所 在 松山市〇町一丁目
地 番 125番
地 目 雑種地
地 積 250.12㎡
2 遺言者は、遺言者の所有する前記1に記載した不動産を除く全ての財産を、長男山田一郎(昭和50年1月10日生)に相続させる。
3 遺言者は、前記山田二郎が遺言者より先に死亡している場合は、前記1で前記山田二郎に相続させるとした不動産を、孫山田秀一(前記山田二郎の長男、平成15年5月12日生)に相続させる。
4 遺言者は、前記山田一郎が遺言者より先に死亡している場合は、前記2で前記山田一郎に相続させるとした財産を、孫山田武(前記山田一郎の長男、平成13年2月16日生)に相続させる。
5 遺言者は、次の債務・費用等について、前記山田一郎に負担・承継させる。
(1)遺言者の葬儀等に関する費用
(2)遺言者が負担すべき公租公課及び債務
6 遺言者は、前記山田一郎が遺言者より先に死亡している場合は、前記5で前記山田一郎に負担・承継させるとした債務・費用等を前記山田武に負担・承継させる。
7 遺言者は、この遺言の遺言執行者として、前記山田一郎を指定する。
8 遺言者は、前記山田一郎が遺言者より先に死亡している場合は、新たな遺言執行者として、前記山田武を指定する。
9 付言事項
二男には自宅購入時にたくさんの援助をしたので、長男に多く相続させることにしました。私の相続で兄弟が揉めることのないようお願いします。
遺言案の構成は以下のとおりです。
①財産の相続に関する事項・・1、2
②予備的遺言・・・・・・・・3、4
③その他の事項・・・・・・・5、6
④遺言執行者に関する事項・・7、8
⑤付言事項・・・・・・・・・9
・不動産について記載する場合は、法務局で登記事項証明書を取得して、その内容のとおりに記載してください。
・1について、もし一部の預金のみ二男に相続させる場合の記載例は以下のとおりです。
「遺言者は、遺言者の所有する以下の預金を、二男山田二郎(昭和52年3月25日生)に相続させる。
(1)〇〇銀行〇〇支店 普通預金 口座番号〇〇〇〇〇〇」
・その他の事項には、上記のような債務・費用以外に、祭祀承継者についても記載する場合があります。その場合の記載例は以下のとおりです。
「遺言者は、祖先の祭祀を主宰すべき者として、前記山田一郎を指定する。」
遺言書の記載方法・記載例は以上のとおりです。
これらの例を参考に、付け加えたり削除したりして遺言案を作成してください。
公正証書遺言を作成する場合は、ここで記載した遺言文案をもって公証役場に相談に行くとよいと思います。
自筆証書遺言を作成する場合は、遺言案の頭にタイトル「遺言書」と記載して、最後に、日付、住所、氏名を記載して押印してください。
自筆証書遺言を作成する場合は、無効にならないよう書き方を十分確認の上、記載してください。
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