親から資金の生前贈与を受けて不動産を購入する場合の税金について

マイホームを購入される場合、親から購入資金の生前贈与を受けて購入される方もいらっしゃると思います。

その場合の税金に関する留意点について記載していますので、ご参考にしてください。

 

この内容は、当職がファイナンシャルプランナー(AFP)として、税制度の一般的な解説をしたものです。

詳細につきましては、国税庁ホームページ、税務署又は税理士に確認し、十分検討した上で制度を利用してください。

個別・具体的な税務相談につきましては、税務署又は税理士にご相談ください。

1.はじめに

資金の贈与を受けた場合の節税策を検討する場合、非課税となる贈与金額がいくらであるかについて把握しておく必要があります。住宅等の購入のための資金の贈与を受けた場合の非課税枠は、次のとおりです。

 

<非課税枠>

贈与税(暦年課税) 110万円
住宅取得等資金贈与の非課税特例 1,000万円(最高)
相続時精算課税制度 2,500万円

 

以下で、それぞれの制度の内容を見ていきます。

2.贈与税(暦年課税)

通常の贈与税の計算方法は、次のとおりです。

 

(1年間の贈与額の合計-基礎控除(110万円))×税率-控除額=税額 

 

基礎控除が110万円ありますので、年間110万円までの贈与は非課税です。

親から資金の贈与を受けた場合でも、110万円以内であれば非課税のため、何もしなくても問題ありません(税務署へ申告不要です)。

しかし、110万円を超える場合は贈与税の支払い義務が発生し、しかも、税率が高いため(10%~55%)、何らかの対策を講じる必要があります。

3.住宅取得等資金贈与の非課税特例

贈与金額が、基礎控除(110万円)を超える場合は、まず、「住宅取得等資金贈与の非課税特例」の適用を受けるよう検討してください。

 

1 主な要件

  • 父母又は祖父母から、18歳以上の子又は孫に対する贈与であること
  • 住宅取得(住宅新築に先行して取得する土地を含む)のための金銭の贈与であること
  • 贈与を受ける者の年間所得金額が、2,000万円以下であること

※ 詳細な要件につきましては、国税庁ホームページ又は税務署で確認してください。

 

2 非課税限度額

耐震、省エネ又はバリアフリーの住宅用家屋

1,000万円

上記以外の住宅用家屋

500万円

 

この特例は、暦年課税(前述)又は相続時精算課税制度(後述)のいずれかと併用することが可能です。

 

(具体的な計算例)

たとえば、耐震、省エネ住宅購入のための資金贈与であれば、暦年課税との併用であれば、1,000万円+110万円(基礎控除)=1,110万円までが非課税となり、相続時精算課税制度との併用であれば、1,000万円+2,500万円(相続時精算課税)=3,500万円までが非課税となります。

 

3 適用を受けるための手続

贈与税の申告書を、贈与を受けた年の翌年2月1日~3月15日までに住所地の税務署に提出する必要があります。

4.相続時精算課税制度

相続時精算課税制度には欠点(後述の「注意点」を参照)があるため、まず、「住宅取得等資金贈与の非課税特例」+基礎控除(110万円)の適用を検討し、贈与金額がこの金額以内に収まらない場合に、適用を受けることを検討するようにしてください。

 

1 主な要件

  • 贈与する人は、60歳以上の父母又は祖父母であること(住宅取得等の資金贈与の場合は、60歳未満でも可)
  • 贈与を受ける人は、18歳以上の推定相続人(子)又は孫であること

※ 詳細な要件につきましては、国税庁ホームページ又は税務署で確認してください。

 

2 税額の計算方法

2,500万円までの贈与が非課税となり、2,500万円を超えた場合でも、超えた部分について一律20%の税率となります。

 

(注意点)

税金が不要となるのではなく、贈与された金額について相続財産の前渡しを受けたものとして、相続時(贈与者死亡時)に相続財産として再計算して、相続税(贈与税より低額)を支払うことになります(※相続財産が基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)の範囲内に収まれば、税金は0円になります)。

なお、「住宅取得等資金贈与の非課税特例」の場合は、後で税金の支払義務が発生することはありません。

 

3 適用を受けるための手続

贈与税の申告書及び相続時精算課税制度を選択する旨の届出書を、贈与を受けた年の翌年2月1日~3月15日までに住所地の税務署に提出する必要があります。

5.その他の方法(共有名義)

親から資金の援助を受けて不動産を購入する場合、親からの資金の贈与を受けたことにするのではなく、親に不動産の一部を購入してもらう方法もあります。この場合、購入した不動産について、親との共有名義で登記します。

こうすれば、親からの資金援助がいくら高額でも贈与税はかかりません。

 

1 共有名義とする場合に考慮すべき事項

共有名義として持分を設定する場合には、持分の割合を親が実際に負担した金額(※親からの資金援助について「住宅取得等資金贈与の非課税特例」を利用する場合は、非課税限度額を超える金額)の割合に応じて設定する必要があります。異なる割合で登記をすると、負担した金額と持分の差が贈与とみなされ、贈与税の課税対象となってしまう場合がありますので注意してください。

また、親も住宅の一部を取得することになりますので、親にも不動産取得税や固定資産税などを負担する義務が発生することになります。

 

2 最終的な名義変更の方法

親に設定した持分については、通常は、将来、親が亡くなって相続が発生した際に、相続登記をすることにより名義を変更します。

 

(注意点)

共有名義とした親の持分について相続を受けるためには、相続人全員の協議(遺産分割協議)又は遺言により自らの相続財産として指定される必要があります。

子供が複数人いて遺産分割協議の際にもめる可能性がある場合には、相続登記ができなくなる可能性がありますので、遺言を書いておくことも検討してください。

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