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こんにちは。松山市の司法書士・行政書士 菊池俊幸です。
今回は「数次相続(すうじそうぞく)」という、少し聞き慣れない相続のパターンについてお話しします。

最近、「祖父の名義の土地がそのままになっているんですが、今からでも名義変更できますか?」というご相談をよくいただきます。こうしたケースでは、実際に手続きを始めようとすると、思ったよりも複雑になっていることが多いです。その理由のひとつが、今回のテーマでもある「数次相続」です。

たとえば、祖父が亡くなったあと、相続登記をしないまま時間が経ち、次に祖父の相続人であるお父さんも亡くなってしまったような場合。こうなると、土地の名義は祖父のままですが、すでに相続が二回発生していることになります。これが「数次相続」と呼ばれる状態です。

この数次相続の何が大変かというと、登記の手続きに関わる相続人がとても多くなってしまうことです。祖父の相続人全員に加えて、お父さんの相続人全員の協力も必要になります。仮に相続人の中に、連絡が取れない方や、疎遠になってしまっている親戚がいた場合は、話し合いそのものが難しくなってしまうこともあります。

また、登記に必要な書類も増えます。戸籍は祖父の出生から死亡まで、お父さんの分も含めて取り寄せる必要がありますし、遺産分割協議書を作成する場合は、関係する相続人全員の署名や実印、印鑑証明書が必要になるなど、かなり準備が大変です。

こうした理由から、放っておくと相続人がどんどん増えて、ますます登記が難しくなってしまいます。「祖父名義のままの土地をどうにかしたい」と思ったときは、なるべく早めに動くことが大切です。

 

こんにちは。松山市の司法書士・行政書士 菊池俊幸です。

今回は、「昔、遺産分割協議書を作ったけれど、不動産の相続登記をしないまま何年も経ってしまった…。今からでも登記できるの?」というご相談についてお話しします。

結論から言うと、古い遺産分割協議書でも、相続登記は可能です。

よくあるご質問に、「印鑑証明書の発行日が何年も前だけど使えるの?」というものがありますが、相続登記で使う印鑑証明書には“有効期限”はありません。発行から時間が経っていても、問題なく使えます。

ただし、いくつか注意点があります。

・協議書にすべての相続人の署名・実印の押印があるか

・印鑑証明書がちゃんと添付されているか

・協議書の中に、対象となる不動産がきちんと記載されているか

こうした点に不備がないか、事前にしっかり確認することが大切です。

また、当時の相続人の中に、現在は亡くなっている方がいる場合でも、協議書作成時にその方がご存命で、署名・押印がされており、当時の印鑑証明書があれば問題ありません。

一方で、「協議書が見つからない」「そもそも作っていなかった」という場合は、あらためて遺産分割協議をやり直す必要があります。年月が経つと相続人が増えていたり、関係が希薄になっていたりして、話し合いが難しくなるケースもあります。できるだけ早めに対処されることをおすすめします。

そして最後にもうひとつ大切なお知らせです。

2024年4月から、相続登記が義務化されました。亡くなった方の不動産は、原則として3年以内に登記しなければならなくなりました。古い協議書がある場合でも、そのまま放置せず、なるべく早めに相続登記するようにしてください。

 

 

こんにちは。松山市の司法書士・行政書士 菊池俊幸です。

今回は、未成年者が相続人になる場合の注意点についてお話しします。

ご家族が亡くなったとき、未成年者であっても法律上の相続人であれば、財産を相続する権利があります。例えば、父・母・長男・二男(未成年)の4人家族で、父が急に亡くなった場合、母、長男、二男の3人が相続人となり、この3人で遺産分割の話し合い(遺産分割協議)をして相続することになります。

しかし、未成年の二男は自分で遺産分割の話し合い(遺産分割協議)に参加することができません。通常は親権者(母)が二男の代わりに遺産分割協議をして手続きを行いますが、今回のように親権者である母も相続人の場合、利益が対立するため、そのまま進めることができません。

こうした場合は、家庭裁判所に「特別代理人」の選任を申し立てる必要があります。
特別代理人とは、未成年者の立場を守るために選ばれる第三者で、未成年者に不利益が生じないように代わりに遺産分割協議を行います。

特別代理人は未成年者の権利(相続財産の取り分)を守るため、基本的には法定相続分を確保することが原則となります。そのため、母、長男、二男の3人で「母が全財産を相続する」という内容で合意していたとしても、特別代理人が入った遺産分割協議では認められません。

相続手続等で遺産分割を急ぐ場合は特別代理人の選任申立てが必要になりますが、もし、二男がもうすぐ成人になるといった状況で相続手続もそれまで待てるのであれば、二男が成年になるまで待ってから遺産分割協議をする方法もあります。状況に応じてご検討ください。

 

こんにちは。松山市の司法書士・行政書士 菊池俊幸です。

近年、再婚や連れ子のいる家庭が増えており、それに伴い「相続」に関するご相談も複雑化しているように思います。「連れ子にも相続権はあるの?」「前の配偶者との子どもにも財産は渡るの?」「今の家族だけに財産を残したいのだけれど」といったお悩みは、当事務所にもよく寄せられます。

まず、連れ子には自動的に相続権があるわけではありません。法律上、相続権を持つのは「実子」または「養子」のみです。つまり、再婚相手の連れ子とは、養子縁組をしていない限り法的な親子関係が成立しないため、相続人にはなりません。
たとえば、夫が再婚し、妻に前夫との子どもがいた場合、その連れ子は夫が亡くなった際に夫の財産を相続することはできません。ただし、夫が連れ子と養子縁組をしていれば、法律上の親子関係が成立し、実子と同様に相続権を持つことになります。

一方、前の配偶者との間に生まれた子どもには注意が必要です。離婚していても親子関係は消えないため、相続権はそのまま残ります。つまり、再婚して新しい家族を築いたとしても、前妻との子どもは法定相続人の一人として財産を相続する権利があります。このことを知らずにいると、亡くなった後の遺産分割協議において、前の子どもと連絡が取れなかったり、意見が対立して協議が進まなかったりすることがあります。

実際の相続の現場では、「連れ子に財産を残したいと思っていたのに、養子縁組も遺言もしていなかったため何も残せなかった」「前妻との子どもと現妻との間で感情的な対立が起き、相続手続きが長引いた」「財産を全部今の配偶者に渡したいと思っていたが、遺言がなかったために意に反して分割されてしまった」といったトラブルがしばしば見られます。

こうした事態を避けるためには、いくつかの備えが有効です。まず、連れ子に財産を残したい場合は、養子縁組をきちんと行うか、それが難しい場合は遺言書を作成しておくことが必要です。また、前の配偶者との間に生まれた子どもがいる場合は、後々のトラブルを避けるため遺言書を作成しておくとよいと思います。

家族関係が複雑な場合、相続も複雑になりがちです。何も準備をしないままでは、残された家族が困ることになるかもしれません。再婚や連れ子のいるご家庭は、一度相続について立ち止まって考えてみてください。

 

こんにちは。松山市の司法書士・行政書士 菊池俊幸です。

今回は、法務局で取得できる不動産の登記事項証明書についてお話しします。

不動産の購入や売却、相続や住宅ローンの手続きなどを考えているとき、「登記事項証明書」(以前は、登記簿謄本と言っていました)という言葉を耳にすることがあると思います。聞き慣れない言葉で、ちょっと難しそうに感じるかもしれませんが、これは不動産に関する大切な情報がまとめられた、非常に重要な書類です。

登記事項証明書とは、簡単に言えば「その不動産が誰のもので、どんな権利がついているか」を証明するための書類です。土地や建物には「登記」という公的な記録があり、その内容をもとに法務局が発行するのが、この登記事項証明書です。たとえば、家を買うときに「この土地は本当に売主のもの?」「住宅ローンの担保にされていないかな?」といった心配があると思いますが、それをきちんと確認できるのがこの書類です。

登記事項証明書には、不動産の所在地や面積、現在の所有者の氏名と住所、過去に誰が所有していたか、そして抵当権(住宅ローンなどの担保)といった権利の内容などが記載されています。こうした情報を事前に確認しておくことで、不動産の売買や相続などの手続きで、後からトラブルになるのを防ぐことができます。

この証明書は、法務局の窓口で申請することもできますし、最近ではインターネットを使って自宅からでも取得できるようになっています。料金は窓口で申請すると600円、インターネットで閲覧するだけなら331円で、誰でも申請することができます。

不動産は高額な資産だからこそ、慎重に情報を確認することが大切です。登記事項証明書は、その土地や建物について「今、どんな状態なのか」を正しく把握するための手がかりとなる書類です。これから不動産の購入や相続などを予定されている方は、ぜひ登記事項証明書の内容に目を通してみてください。

 

より詳しい登記事項証明書の見方について、お役立ち情報に記載しています。以下にリンクを貼っておきますので、よろしければご覧ください。

こんにちは。松山市の司法書士・行政書士 菊池俊幸です。

最近は仕事で外国に赴任している方も多くなってきましたので、相続人が外国に居住している場合の手続きについてお話しします。

相続が発生すると、相続人全員で遺産をどう分けるかを話し合う「遺産分割協議」が必要になります。そして、その結果をまとめた「遺産分割協議書」に、全員が署名・押印し、印鑑証明書を添付することで、不動産の名義変更などの手続きができるようになります。その時に、相続人の中に海外に住んでいる方がいる場合は注意が必要です。

この場合は日本国内にいる相続人とは違い印鑑証明書が発行できないため、現地にある日本の大使館や領事館に行って、「署名証明」という書類を発行してもらいます。これは、領事の前で遺産分割協議書に署名をし、その署名が本人のものであることを公的に証明してもらうという手続きです。領事館での署名証明は、各国ごとに細かいルールがありますので、事前に予約を取ったり、必要な書類を確認しておくとスムーズです。

また、もし海外に住んでいる相続人が一時的に日本に帰国しているタイミングがある場合は、日本国内の公証役場で署名証明をもらうこともできます。公証人の前で協議書に署名・押印し、その内容を公証人が確認したうえで証明書を発行してくれます。こちらも法務局に提出できる正式な証明になります。

どちらの方法も、遺産分割協議書の署名・押印が本人のものであることを証明するための大切な手続きです。相続登記などの手続きを進めるためには必ず必要になります。海外に住んでいる相続人がいる場合は時間も手間もかかりますので、早めに準備することをおすすめします。

 

こんにちは。松山市の司法書士・行政書士 菊池俊幸です。

今回は「遺言執行」についてお話しします。

遺言書の中で「遺言執行者」をあらかじめ指定しておくケースが多いと思います。でも、「そもそも遺言執行者って何をする人?」と思う方も多いのではないでしょうか。

簡単に言うと、遺言執行者とは、遺言書に書かれた内容を実際に実行する人のことです。

実際の手続きは、次のような流れで進めていきます。

 

① 任務開始の通知

遺言執行者としての職務を正式に始めたことや、遺言書の内容について、相続人全員に書面で通知します。

② 財産目録の作成と交付

亡くなった方が持っていた財産(預金、不動産、株式など)を調査し、一覧にまとめた「財産目録」を作成して、相続人に渡します。

③ 遺言内容の実行

財産の分配や名義変更など、遺言に書かれた内容を具体的に実行します。たとえば、預貯金の解約・分配や、不動産の名義変更などを行います。

 ④ 任務終了の通知

すべての手続きが終わったら、どんな処理を行ったかを報告し、職務が完了したことを相続人に通知します。

 

多くの方は③(遺言内容の実行)の部分だけを意識しがちですが、①、②、④の「通知」や「報告」も、実はとても大切です。

私たち専門家が遺言執行者になる場合、これらの通知や報告も当然のこととして行います。

しかし、遺言書で身内の方(たとえば長男など)が遺言執行者に指定されているケースでは、こうした手続きが十分に行われていないこともあるようです。

遺言執行者になった方は、「通知と報告の義務がある」ということを、ぜひ覚えておいてください。

 

こんにちは。松山市の司法書士・行政書士 菊池俊幸です。

身内が亡くなった後、遺品整理の中で「遺言書」が見つかることがあります。そんなとき、慌てて開封したり、そのまま手続きを進めないでください。まず大切なのは、遺言書の種類を確認することです。

自筆で書かれた遺言書(自筆証書遺言)の場合は、開封する前に家庭裁判所で「検認」の手続きが必要です。これは、偽造や変造を防ぐための法的な作業で、勝手に開封すると5万円以下の過料が科されることもあります。一方、公証役場で作成された「公正証書遺言」は検認不要ですので、そのまま相続手続に使えます。

遺言書があると相続手続の流れは大きく変わりますので、遺言書がある場合は、遺言の内容をしっかり確認したうえで、財産の名義変更や相続登記、預貯金の解約などを進めてください。

 

こんにちは。松山市の司法書士・行政書士 菊池俊幸です。

最近は、親が亡くなったので相続登記をして欲しいと依頼を受けることが多くなりました。親が亡くなった場合は、司法書士が行っている相続登記以外にもたくさんの手続を行う必要があります。

司法書士が行う相続登記はそれほど急いでしなければならない手続ではなく、税金、健康保険や年金関係の手続の方が優先度が高いので、そちらの手続を先に行ってから司法書士に相続登記を依頼するといった順番で問題ありません。

なお、各種手続の中で死亡診断書のコピーの提出を求められることがあるので、市役所に死亡届を出す前に、死亡診断書のコピーを複数枚取っておくようにしてください。

死亡後の手続については、松山市のホームページに「ご遺族さまへ ~お手続きのご案内~」という手続のチェックリストが掲載されていますので、こちらをプリントアウトして、これにチェックを入れながら行うとよいと思います。

 

参考に、松山市のホームページの「ご遺族さまへ ~お手続きのご案内~」のリンクを以下に貼っておきますので参考にしてください。

こんにちは。松山市の司法書士・行政書士 菊池俊幸です。

最近、遺言作成の依頼を受けることが多くなったので、今日は、遺言について書きたいと思います。

遺言は、家族のトラブルを防ぐための大切な手段です。相続が発生すると、遺産の分け方で意見が分かれ、家族関係が悪化してしまうこともあります。そうした問題が起こる可能性がある場合には、遺言を作成しておくとよいと思います。

遺言には、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」があります。自筆証書遺言は、自分で手書きして作成する方法で手軽にできますが、書き方を間違えると無効になってしまうことがありますので、十分注意して書いてください。一方、公正証書遺言は、公証人が内容を確認しながら作成するため、確実性が高く、最もおすすめです。

遺言では、誰にどの財産を渡すか自分の意思だけで決めることができますが、家族との話し合いも大切だと思います。遺言を突然残すと、家族が驚いたり、不満を持ったりすることがあります。事前に「こういう理由でこの財産をこの人に残したい」と伝えておけば、相続発生後の混乱を避けることができます。特に、不動産が多い場合や、家族構成が複雑な場合は、事前にしっかり話し合っておくことが大切だと思います。

また、遺言は一度作成したら終わりではありません。時間が経つと、財産の状況や家族の関係が変わることもあります。例えば、新しい家族が増えたり、財産の内容が変わったりして考えが変わった場合には、遺言を見直して最新の内容に書き換えるようにしてください。

 

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